※2022/5/11更新
あの有名な?JD-800の53番ピアノ、通称TKピアノをKONTAKTとVSTiで再現してみました。
再現度にはかなりこだわっていますので、いろんなメーカーから販売されている再現系や個人が制作したものの中でもかなりイケてるのではないでしょうか。
そのこだわりの詳細は↓のほうで紹介するので興味がある方は読んでみてください。
No.53 Piano V2 KONTAKT版 ダウンロード 3MB
動作環境
KONTAKT 5.7.3以降 KONTAKT Player非対応
読み込みでエラーが出る場合はRead Meファイルを読んでみてください。
No.53 Piano V2 VST AU版 ダウンロード 8MB
動作環境
Windows 7 or Later 64bit
VST3
Mac OS 10.11 or Later
Audio Unit ※VST非対応
更新履歴
22/5/11 Ver2.0.1.650
・macOS Monterey 12に対応しました。(Apple Siliconには非対応)
・低音ノイズが混ざることがある症状を改善しました。
・その他多くの動作の改善や安定性の向上を行いました。
20/9/24 Ver.2.0.0.532
・サンプルから見直し、再現度を向上しました。
・デフォルトのオクターブを1下げました。
・CPU負荷を1割ほど軽減しました。
・安定性を向上しました。
他にもフリーの音源や、スーパーファミコンのサウンドを再現したSF6、SF45、SRS123 Library、シンセベル専用音源TwinkerBellなどもリリースしております。
PRODUCTS
本家Rolandが2021年にJD-800のVSTiをRoland Cloudでリリース、そしてBoutiqueシリーズJD-08をリリースしました!
気になる再現度ですが、プリセットそのまま鳴らす場合は結構いい感じなのに対し、TKピアノの再現となると微妙です。
TKピアノといえば代表的なのは「DEPARTURES」ですよね。
TKピアノって高確率でプリセットそのままではなく、レイヤーのTONE Dがオンになった状態なのです。
TONE Dをオンにするとオクターブ上の音が追加されます。
Roland CloudのJD-800もJD-08もこのTONE Dをオンにするとホンキートンクのような音になってしまい、鍵盤の中心から離れるにつれてどんどん音痴になってしまいます。
この原因についてはこの画像のWG PITCH KEY FOLLOWの部分にあります。
このパラメーターは隣の鍵盤に移動したときにどれだけ音程を変化させるかを設定する物で、例えば100に設定するとドの隣のレを弾くと通常通りレが発音します。200に設定するとミが発音するようになります。
53番ピアノのTONE Dは実機もVSTiもJD-08も同じ102に設定されているのですが、実機とその他では効き具合がかなり違います。
実機では102にしても100の時とほぼ変わらない変化なのに対し、VSTiとJD-08では変化しすぎてしまい、これが音痴になる原因です。
実機ではTONE Aも101になっているのですが、VSTiとJD-08では100にされています。
たぶん101にすると通常のピアノ音色としてはおかしな事になるので移植するときに100にされたのでしょう。
パラメーター値で調整するのではなく元のパラメーターの効き具合を実機に合わせてほしかったですね…
なのでVSTiやJD-08でTONE Dをオンにした状態のTKピアノを再現したいのであれば、TONE A~DのKEY FOLLOWを全て100にしたうえで、PITCH FINEなどで実機に近い雰囲気になるよう探る必要がありますが、やはりどうしても実機とは違った質感になってしまいます。
これがTKピアノの再現をしようとすると微妙と言った理由です。
Rolandさんがこの事に気付いてアップデートしてほしいところですね。
※ここからは再現についてさらにマニアックな内容になるので興味がある方だけ読んでください。
JDピアノの特徴と言えばやっぱり弱く弾いたときの丸みを帯びた音から、強く弾いたときのカツーンと抜けてくる音への変化です。
ここの再現がイマイチなものが多く、JDピアノマニアにとっては満足できない部分なんじゃないかなと思います。
今までAKAIのサンプラーやKORGのシンセのサンプラー機能、ソフトではHALIONやFalconなど様々なサンプラー機能で再現してみてノウハウを蓄積してきました。
面白いのが、サンプラーで再現すると音色は確かにJDピアノなんだけどそのサンプラー独自の質感になるんです。
KORGのシンセのサンプラー機能を使うと音色はJDなのにKORGの質感になる!
ソフトサンプラーはハードに比べてその影響を受けにくく、特にKONTAKTはやりやすかったです。
このカツーンと抜けてくる音の再現に大事なのはまずサンプリング方法です。
実機のプリセットをサンプリングするのではなく、イニシャライズして「Piano Atk」の素の状態をマルチサンプリングします。
「Piano Atk」のサンプリングポイントは9箇所で、しっかり実機と同じポイントでサンプリングしてあげないと全然別物に仕上がってしまいます。
素の状態なのでピアノなのに鍵盤押している間は減衰しないでずっと鳴りっぱなしになります。
だからといって永久にサンプリングするわけにはいかないので、昔の容量が少なかったシンセと同じようにループポイントを作ります。
このループポイントをしっかりと探し当てないとこれまた別物になってしまいます。
でもこの方法のおかげでサンプル容量が1MB以下という低容量で実現出来るのです。
ベロシティーも最大の127のみで大丈夫です。ベロシティレイヤーはする必要ありません。
ベロシティーレイヤーしないのでベロシティー強弱による音色の変化は実機と聴き比べながらKONTAKTのエンジンでひたすら調整です。
フィルターカットオフの他にも低音部分と高音部分ではリリースの長さが違ったり音量が違ったりで、調整しなくてはいけない部分がけっこうあります。
最近のリアル系大容量ピアノ音源はひたすら大量にサンプリングして膨大な容量の力で再現していますが、このNo.53 PianoはエンジンがKOTAKTになっただけでやっていることはJD実機とほぼ同じです。
ここまでの作業は普段からよくやっているようなことなのでそれほど苦労はないけど大変なのはここからでした…
配布するにあたって使いやすくするためにUIを作ったりしなきゃいけなく、KONTAKTではKSPという規格のプログラミングのようなことをしなくてはいけません。
デザインやプログラミングは全くの専門外なので勉強しつつ試行錯誤してなんとか出来上がったのですが、Oct.TONEとリバーブのオンオフスイッチ、リバーブのセンド量ツマミ、これを付けるだけで丸2日間もかかってしまいました…
最初は諦めていて、このままでいいやって思っていたところ、Twitterで助言してくださった方のおかげでやってみようという気になり、KSPは日本語で解説している情報がほとんど無かったのでyoutubeの英語の解説動画とかひたすらみてました。
こんな感じで長々と書きましたがよかったら活用してみてください。