VY2公式デモ『サンドリヨン』制作で思ったこと

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4月25日にVOCALOIDの新しいDB『VY2』が発売されました。
VY1が女性声なのに対してVY2は男性声で、どちらもミクやリンレンなどのキャラクターを持たないボーカロイドです。

そのVY2の公式デモソングを『サンドリヨン』でやらせていただくことになりました。

この動画は20日に投稿され、そのすぐ後にこの記事を書くつもりでいたのですが、時間がとれなかったため今になってしまいました。

さて、VY2のソフトが我が家に届いたのが18日の夕方で、音源を提出したのが20日の朝なので、わずか1日半ほどしか触っていませんが、感じたことや実際にやったことなどを書きたいと思います。

ちょっと難しい内容なのでボカロを経験したことがない方にとっては意味不明な内容かもしれませんがご了承ください。


まず女性声のVY1はミクの元データをベースにピッチなどの表情を加えていきました。
VY2は元のKAITOのデータがVOCALOID1のため、新たにVOCALOID2エディタで歌詞を打ち込むところから始めました。
「ベール」が「ベイル」になってしまっているのはその時に打ち間違えたからですw
VY1、VY2共に言えることは、とにかく扱いやすいです。
エディタに入力したことを忠実に再生してくれるというか、滑舌に関してはほぼ完璧で、発音記号の修正やノートの分割などは一切行っていません。
それに、音程や歌詞などによって音量や声質が極端に変わるなどもほとんど無く、ボカロでよくありがちなエディタ上では良い感じに歌っているように思えても、DAWでオケと合わせると子音が埋もれて滑舌がハッキリしないなどのギャップを感じることも少ないです。

ここまで良い事ばかりを書きましたが、もちろん欠点もあります。
エディタに入力したことを忠実に再現してくれるため、べた打ちの状態だと同じ音程で伸ばすと棒な歌い方でちょっと機械的になってしまいます。
これはランダマイズ機能でピッチを少し揺らしてあげることで少し改善できます。
サンドリヨンに関してはしゃくり上げやビブラートは全てピッチを手書きで行っていますが、最初の「あー」はちょっと棒っぽく感じてしまいますね。
ところどころビブラートが小刻みに震えていいる感じがするのも手書きで書いたためです。
もう一つの欠点は、
母音が「い」、E2より低い音程、そのノートの直後が空白
この3点の条件が揃ったときに音が切れた直後に「ボッ」というノイズが入ります。
「ぐみーーーボッ」みたいな感じですw
まあこれは空白部分に入るのでその部分だけDYNを下げるか波形にしてからそのノイズだけカットするなど対処は簡単です。
今のところ気になったのはこの2点くらいですね。


次にWAVを書き出してDAWに合わせてからの作業内容です。
もうなんかそのままでも良いんじゃないかって思うくらいオケに馴染みます。
ボカロをミックスするときはだいたい試行錯誤の繰り返しでああでもないこうでもないと言いながら、気がついたらプラグインのインサートスロットが全て埋まっていたなんてこともよくあります。
しかしVYシリーズは変な籠もりやノイズ成分などなく非常に素直な音質で、音量の大小の幅も狭いので無理矢理コンプで潰すなどといったこともしなくて済みます。
とはいいつつも曲調などによってより馴染むように処理してあげるといいですね。
サンドリヨンで使ったプラグインはわずか3つでした。

waves JJP Vocals

コンプ、ディエッサー、エキサイター、EQなどが一つになったボーカルトラックに特化されたエフェクトです。

FabFilter Pro-Q

イコライザーです。


waves Rvox
ボーカルトラック用に特化されたコンプです。

これはVY2での設定ですがVY1でもほとんど同じような感じです。
WavesやFabFilterはちょっと高級品ですが、フリーのプラグインでも組み合わせ次第でほぼ同じ声が出せると思います。
EQの効きがすごくよくて狙ったポイントを無理なく調整できます。ボカロはEQの効きが悪くて特定の音域になったときだけ急激にかかるといったことが多いのですが、VYシリーズは人の声をいじるのと同じような感覚でイコライジングできました。
コンプも軽くかけた程度でボリュームのオートメーションも使っていません。
空間系に関してはリバーブとディレイにセンドで送っています。


近いうちにVOCALOID3が発表されるんじゃないかと噂される中、VY2は今までのノウハウを詰め込んだVOCALOID2エンジンでの集大成と言ってもいいほどの完成度だと思いました。

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