Windows 7 64bit版での動作検証(2011.1.27更新)

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Windows 7が発売されて1年以上経ちました。
そろそろパソコンの買い換えをしたいけど、今持ってるソフトが正常に動くのか心配でなかなか踏み切れないという人が多いと思います。
でもDTMで音楽を作ったり、動画を作ったり、イラストを書いたりする人にはメモリが実質無制限で使える64bitOS(注 Win7x64 HomePremiumは16GB制限)の恩恵はかなりのものです。
XPや32bitOSだといくらメモリを積んでも認識されるのは3GBちょっとまでで、一つあたりのアプリで使えるのは2GBまでです。

今回の記事は、Windows7が発売する前にMicrosoftが配布していたRC版から今現在まで使ってみた僕なりのレビューというか動作検証です。


●多くの人が誤解している点
XPからWin7の64bitにすると対応していないソフトがかなりあると思っている人が多いですが、それは間違いです。
確かに中には全く動かなかったり、正常に動作しないソフトもありますが、XPで使えていたソフトの9割以上はXPと同じように正常に動きます。
製品の動作環境にWindows7がなくてもほとんどの場合動きます。


●64bitOSを使うにあたっての注意点
ソフトに関してはそこまで心配いらないのですが、ハードに関しては注意が必要です。
プリンタ、スキャナ、オーディオIF、ペンタブなどのハードウェア製品は64bit用のドライバがないと使えません。
メーカーのサイトに行ってみて64bitドライバがあるか確認してみて下さい。
もしWin7x64のドライバが無くてもVistaの64bitのドライバがあれば動く確率は高いです。
うちはプリンタとスキャナが8年前の物でかなり古かったのでドライバが更新される気配が無く、仕方なく買い換えました。
マウス、キーボード、USBメモリ、ディスプレイなどのドライバはWin7に最初から入っているので挿すだけで使えます。


●うちでの検証環境
OS:Windows 7 Professional 64bit
CPU:Core i7 930
メモリ:DDR3 12GB(2GBx6)
マザボ:GIGABYTE X58A-UD3R
グラボ:HD5770
SSD:128GBx5、64GBx1
モニタ:27インチワイド
電源:650w


●DAWについて
インストーラーには64bit版と32bit版が入っています。
うちではCubase5の64bit版を使っていますが、Cubaseに限らず不安なら32bit版をインストールすることをオススメします
64bit版を入れてしまうと32bitまでしか対応していないVSTなどが正常に動作しない事があります。
それにボカロのReWireも64bitホストだと使えません(使う方法もあるみたい?)
ただし32bit版のCubaseだとメモリがDAW内で4GBまでしか使えません。
でも64bit版のCubaseで32bitVSTをうまく動かす方法や、32bit版の4GB制限の抜け道はいくつかあるのでまた後ほど。


●VOCALOIDについて
うちにあるボカロ2のミク、リンレン(ACT2、Appendを含む)、ルカ、GUMIは全く問題なく動いてます。
先ほど言ったとおりReWireを使いたい場合は32bitホストで使いましょう。

旧ボーカロイドであるKAITOやMEIKOについては、基本正常に動きます。
がしかし!
ノートを大量に(100個以上くらい?)選択して画面をスクロールさせると落ちます。
ボカロ1に関してはWin7にしてからは使い込んでいないのでまだ他にも不具合があるかもしれません。
こまめにセーブしながら慎重に使えば使えるという感じでしょうか。


●VST(ソフトシンセ、プラグイン)について
まずドングルのUSBキーは最新のドライバを入れて下さい。
iLokとeLicenserのキーはどちらも最新版を入れないと不具合が起こる場合が多いです。
Cubaseなどで使われているeLicenserはCubase5に付属しているドライバだと古いです。
今はバージョンアップしてLCCではなくeLCCという物に変わっています。
eLCCのダウンロードはこちら


●32bitDAWでメモリをたくさん使う方法
Vienna Ensamble Pro(以下VEP)という物が発売されました。
これはDAWの外で起動して、DAWとReWireと似たような形で繋いでいるため、ここでVSTiを立ち上げてもDAWの外でメモリが使われていることになり、メモリが無制限で使えるようになります。
例えばSuperior Drummer 2.0のようなメモリを大量消費するVSTiを32bitのCubaseで使うと、Cubase内で使えるメモリは4GBまでなのでだいぶ圧迫されますよね。
そこでVEP内でSuperior Drummer 2.0を立ち上げるとSuperior Drummer 2.0だけで積んであるメモリを無制限で使えるようになるのです。
詳しいことはこちら

他にもjbridgeを使う方法などあります。
jBridgeとは、32bitのVSTプラグインを仮想的に64bitに、または64bitのVSTプラグインを仮想的に32bitに見立てるものです。
これを使うと64bitDAWで不具合が出る32bitのVSTを動かせる可能性が高くなります。
このような機能はCubaseの中にもVSTbridgeとして入っているのですが
まだまだ動かないプラグインが多いのと、もし動いたとしても負荷が高く
jBridgeを使ったほうがかなり軽く動作します。
wavesは64bitDAWだと動かないと思いますが、jBridgeを介すことによって使えるようになります。
jBridgeのサイト→https://jstuff.wordpress.com/jbridge/


●問題なく使えているソフトシンセ(Win7 64bit Cubase5.5.2 64bit版でjBridgeを使った場合)
Superior Drummer 2.0
Vienna Instruments
THE GRAND3
Stylus RMX
Omnisphere
Trilian
Vanguard
NEXUS 2
KOMPLETE 7
RealLPC,RealStrat,RealGuitar 2L (最新版を入れる必要あり)
V-station
Legacy Collection DIGITAL EDITION (Cubase 64bit版だと音色設定がプロジェクトに保存されません、回避方法はありますがVEP内や32bit版で使うことをオススメします)
SampleTank2
VOCALOID:初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカ、メグッポイド、KAITO
Albino
Moog Modular V
Synth1
Proteus VX (Cubase 64bitでは使えません、VEP内や32bit版なら大丈夫です)
IndependenceFree (最新版以外では不具合が出やすいです)


●問題なく使えているエフェクト(Win7 64bit Cubase5.5.2 64bit版でjBridgeを使った場合)
UAD-2 QUAD OMNI
fabfilter Mastering bundle
Elysia alpha compressor、mpressor
Lexicon LXP Native Reverb Plug-in Bundle (ちょっとあやしい)
Brainworx bx_bundle、bx_XL
Sonnox Elite Bundle
GUITAR RIG 4 PRO
Auto-Tune 7,Auto-Tune EVO,Auto-Tune 5
WARM Evo,ASPIRE Evo,THROAT Evo,DUO Evo,SYBIL
harmony engine
POD Farm
Vintage Warmer
Vintage Meter
Amplitube
Ozone 3

以上がわが家でjBridgeを通して問題なく使えたプラグインです。
jBridgeを使わない場合でもある程度は動きますが負荷が高めで中には不具合が出るものがあります。
そこらへんはちょっと検証不足です。


●その他のVST関連
WAVESはWaveShellという特殊な構造のため、使っているホストによって動作が変わってくるようです。
Cubase32bitでは基本的に使えますが、物によって負荷が高くなったりします。
Cubase64bitではjBridge必須です。
他にも正常動作しているプラグインは多数ありますが、あまり使い込んでいないため省略します。

●音楽系以外のソフト
Office、ATOK、iTunes、Skypeなどは問題なく使えてます。
フリーソフト類も大体は使えてますが、たまにインストーラーにOS制限が入っていてインストール出来ない物があります。
Adobe系の古めのバージョンのソフトも基本操作は問題ありませんが、あまり細かい機能まで使っていないので細かい部分までは確認していません。
SAIも同様で基本問題ないようですが、詳しい情報などはネット上の掲示板などを参考にしてみて下さい。


●まとめ
ここに書いた内容はあくまでうちの環境での検証なので、必ずしもこの限りではありません。
Win7 64bitに移行して不具合が起きた場合、こちらでは責任取れませんので必ず自己責任のもとで行って下さい。

初めてWindows 7の64bit版をインストールする時はちょっと不安だったのでXPとのデュアルブートにしたのですが、けっきょくXPは一度も起動しませんでした。
やはり7年前のOS(XP)からの移行なのですんなり行かない部分は多々ありますが、それでも大容量のメモリの恩恵を一度体験してしまうとXPには戻れない身体になってしまいました。
うまくいかないソフトは試行錯誤してみて、それでもダメなら清く切り捨てるくらいの気持ちじゃないとダメかもしれません。
僕は切り捨ててでも64bitのメリットの方を取りました。

もし今XPかVistaに戻れと言われたらVistaの64bitにします。
Vistaは発売当時ものすごく評判が悪くて全然売れませんでしたが、今となっては良いOSだと思います。
発売した頃のPCのスペックだとモッサリで厳しい部分もあったのですが、最近のスペックのPCなら問題ないですし、VistaSP2になってからは色々な部分が改良されて安定しています。

他にもこのソフトが動いたよ!とか、これは動かない!などコメントに書いていただけると情報を共有できていいのではないでしょうか!

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